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高森明勅
2022.7.20 08:00皇統問題

「愛子天皇」は皇位の安定継承への道、「悠仁天皇」は…

繰り返すまでもなく、側室不在で非嫡出・非嫡系による
皇位継承の可能性が制度的に除外された条件下で、
それでも皇位の安定継承への道を探ろうとすれば、
明治以来の「男系男子」限定という男尊女卑的なルール
(皇室典範第1条)を見直し、女性天皇・女系天皇・女性宮家を
可能にする皇室典範の改正が避けられない。

そのような制度改正が行われたら、次に即位されるのは、
直系優先の原則に照らして(皇室典範第2条)、
敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下ということになる。
その場合、男尊女卑的な価値観や、ひたすら思考停止して
前例踏襲ばかりに凝り固まり、必要不可欠な刷新からも目を背ける、
退嬰〔たいえい〕的な感覚は、綺麗サッパリ拭い去ることができるだろう。

したがって「愛子天皇」の登場は、日本が“変化できる”
ことを自ら証明し、再び活力を取り戻す希望に満ちた
第一歩になるはずだ。

逆に、現在の“持続不可能”なルールに盲目的にしがみつき、
皇位の安定継承への展望が切り開かれないまま、
秋篠宮殿下が年齢的な事情などから即位を辞退されて
(皇室典範第3条)、「悠仁天皇」が即位された場合、
(もちろん悠仁殿下ご本人のせいでは全くないが)
それは日本が古い価値観をいつまでも引きずり、
皇室の方々の人格や人権を否定したまま、
どうしても必要な変更さえ行えない無力で臆病な国であることを
示すことになり、わが国の未来は暗く閉ざされるだろう。

属人的ではなく制度論的な二者択一として、
日本国民は一体、どちらを選ぶのか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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